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イルゴール:家庭の生活状況を奏でるオルゴール型インタフェースの研究

将来、様々なセンサやコンピュータが家に導入され、人の活動状況などを簡単に取得可能になると考えられています。得た情報を生活者にどのような形で還元するか、これについてはまだ議論の余地があります。本研究では、家庭内の様子をオルゴールのメタファを用いて音で提示するインタフェース「イルゴール」を提案します。イルゴールの背面に設置したぜんまいを巻いて ふたを開くと、オルゴールのメロディに乗せて過去の家庭の音(ドアの音や料理の音などを表す生活音)が聞こえてきます。オルゴールで過去の思い出を振り返るような感覚で家庭の様子を知ることができます。

プロトタイプ

イルゴールデバイスは、既存のオルゴールに加速度センサ・ロータリーセンサ・リードスイッチを組み込んで作成しました。
各センサを用いてふたの傾き・ぜんまいの回転量・ふたの開閉状態を取得します。制御はPhidgetServerで行いました。

イルゴール プロトタイプ

 

実験住宅への組み込み(2009年~2010年)

イルゴールの有効性を検証するために、お茶の水女子大学の実験住宅である Ocha House にて運用と評価実験を行いました。
Ocha House の室内に、無線通信モジュールXBeeと任意のセンサから構成される複数のセンサモジュールを組み込みました。今回は設置のしやすさを考慮し、人感センサ(Panasonic 製焦電型MP モーションセンサNaPiOn) を用いて、主に人の動きを検出します。導入したセンサモジュールによって、人が家の中のどの位置にいるかを検出し、場所から活動内容を判定しました。その内容に合わせて、イルゴールは象徴的な生活音を生成します。たとえば、キッチンの前に人が居ればまな板の上で材料を切る「トントントントン」という音が、玄関に人が居れば「ピンポーン」という音がイルゴールから聞こえてきます。

OchaHouseに組み込んだセンサモジュールの例

関連発表

  • Maho Oki , Koji Tsukada, Kazutaka Kurihara, Itiro Siio: HomeOrgel: Interactive music box to present actual home activities with symbolic sounds, Adjunct Proceedings of Pervasive2012 (Demo), (Jun, 2012) [PDF]
  • 沖 真帆, 塚田 浩二, 栗原 一貴, 椎尾 一郎:イルゴール:家庭の生活状況を奏でるオルゴール型インタフェースの研究,情報処理学会論文誌 特集論文「インタラクションの基盤技術,デザインおよび応用」, vol.52,No.4 ,pp.1586-1598 (Apr, 2011).[PDF]
  • 沖 真帆,塚田 浩二,栗原 一貴,椎尾 一郎: イルゴール:家庭の生活状況を奏でる オルゴール型インタフェースの研究,情報処理学会 インタラクション2010論文集,pp.17–20 (2010). [PDF]
  • Maho Oki, Koji Tsukada, Kazutaka Kurihara, and Itiro Siio, HomeOrgel: Interactive music box for aural representation, Adjunct Proceedings of Ubicomp 2008, pp. 45-46, (Sept, 2008). [PDF]
  • 沖 真帆, 塚田 浩二, 栗原 一貴, 椎尾 一郎, 生活音オルゴール, 情報処理学会第70回全国大会講演論文集, pp. 4-241–242, 2008.3.13-15. [PDF]
  • 沖 真帆, 塚田 浩二, 栗原 一貴, 椎尾 一郎, イルゴール:家庭を奏でるオルゴール,インタラクション2008論文集 pp177-178 (2008) [PDF]